大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)206 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人並びに弁護人佐々木清綱の各上告趣意はそれぞれ末尾添附の書面記載のと

おりであつてこれに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

被告人の上告趣意は事実誤認の主張であつて適法な上告理由とならない。

弁護人佐々木清綱の上告趣意第一及び第二点について。

原判決が「被告人はCと組打ち格闘し、所携の柳刃庖丁で同人の左側胸部及び頭

頂部を突き刺して同部に約二週間の加療を要する切創を与え云々」と判示し、その

引用の所論医師Dの同人に対する診断書に「C左側胸部及び頭頂部切創向後約二週

間の加療可然ものと認むる」旨の記載のあることは所論のとおりである。しかし原

判決が証拠として採用している第一審第四回公判調書中の証人Cの証言と右の診断

書とを綜合して考えてみると、前記の「切創」というのは、いずれも必ずしも法医

学上の厳格な意味においての切創ではなくて、単に創傷という程の意味であると解

せられる。そうだとすれば、同証人が判示の日時同証人方に押入つた強盗のため柳

刃庖丁で突き刺されて、判示のような部位程度の創傷を蒙つたという事実は、挙示

の証拠によつて十分認定できることである。それ故、原判決の「切創」という用語

は妥当でないとしても、そのために原判決に影響を及ぼすものでないこと明らかで

あるから、論旨は採用することができない。なお所論引用の当裁判所判例は本件に

適切でない。論旨はすべて理由がない。

同第三点について。

然し、原判決引用の第一審第四回公判調書中証人Aの証言の中所論摘録の部分は

同証人が判示犯行当夜自ら実験した事案によつて推測した事項の陳述であるから原

判決がこれを証拠としたことに何等違法はない。所論は独自の見解を主張するもの

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であつて採用できない。(なお引用の判例は本件に適切でない。)

よつて旧刑訴四四六条を適用し全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

検察官 福島幸夫関与

昭和二六年五月八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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